#003 R168と五新線 |
●その4
しかし酷い夜だった。
仮眠を取るのに最適なフルフラットブース席に入れたまでは良かったが、隣のブースの男がとんでもない奴だった。真夜中に備え付けのインターホンで飯を注文し、そして食い出す。いやこれは別に構わない。その後が問題だった。食い終われば大いびきでゴロ寝。それもこの世の物とは思えないほどの大爆音。私のプアな語彙力では何とも例え様がないのだが、敢えて言うならその爆音で地面に亀裂が生じるほどのレベルだ。近隣の他の客の寝息が全く聞こえないのは気のせいではないようだ。それは夜通し絶えることは無かった。店舗によっては、大いびきは他の客への迷惑行為とみなし強制退店となる旨を注意書きに表記しているが、生憎この店にはそのような内容は書かれていなかった。何とも歯がゆいまま夜を明かした。
翌朝。
腹立ち紛れに海沿いの通りを走ってみる。コンビニで朝食を調達すると、近くに落ち着けそうな浜辺があったので、車を停め、ここで朝食を摂る。
扇ヶ浜@田辺市 対岸は白浜 ああっ左腕の付け根がぁっ…○| ̄|_ |
街からほど近いこの海辺は朝の散歩をする人が絶えず、市民の憩いの場となっていた。駐車場こそ有料だったが、初め一時間は無料なのが幸い。
一服したのち、昨日は素通りした、白浜へ足を延ばしみる。白浜と言えば全国的には有馬、道後と並ぶ日本三古湯の一つ・白浜温泉、私のような近畿圏の住人にとっては白良浜に代表される、夏の海水浴の地として知られている。 海沿いの道を走ること二十分ほど、白良浜すぐ脇の駐車場に車を停める。夏場の繁忙期には有料となるこの駐車場も今日は集金人の姿は無い。
「白い」浜辺を眺めつつ、私が向かったのは公衆浴場の一つ・白良湯。
白浜温泉 白良湯 |
入湯年月 | 2013.3 |
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料金 | ¥400 |
営業時間 | 7:00〜22:00 定休日:毎週木曜日 |
備品など | 石鹸・シャンプーなし ※販売あり |
泉質 | ナトリウム塩化物泉 温度:59℃ |
データ年月 | 2014.3 |
備考 | 眺め抜群 |
本日一湯目である。リゾート地とは言えど、朝っぱらから公衆浴場の湯に浸かるのは私の他には地元のお客さんばかり。浴室の窓からは白浜の美しい海が、一段高い場所から眺められる。そうそう、某日帰り温泉ガイドブックには木造建築の浴場とあるが、裏に回れば…あっ(以下自粛)。(笑)
風呂上がりに浜辺をぶらりと歩いてみる。ここ白良浜は近畿圏では最も海開きが早い(五月の連休)が、今日は当然のごとく泳ぐ人はいない。「シーズンオフ」だが、案外と人の数は多い。
白良浜 本当に砂浜が白い |
白浜には上○動物園が真っ青になるほどの大量のパンダが生息するアドベンチャーワールドや、千畳敷や三段壁といった名勝があるがここでは割愛する。と言うより立ち寄っていないだけなのだが。
田辺市に戻り、昼食の弁当を調達する。私のお目当てである「めはり寿司」はやはり見当たらなかった。何の変哲もない、酢飯を高菜で巻いたものであるが、私の紀州旅行では毎度一食することが義務付けられている(大嘘)。
さて、田辺から京阪神へ戻るには阪和道かR42を使うのが距離、時間ともに最短である。しかしそれも味気ないので、別のルートを使ってみることにする。
田辺の街から右会津川に沿って山間部に立ち入るr29を走ってみようか。
田辺市街地は思った以上に狭く、少し走っただけでもう両側に山が迫ってくる。何キロも走らないうちに、名勝「奇絶峡」の脇を通過する(※画像欠落)。トンネルを一本くぐれば視界が開け、秋津川の集落に入る。早いもので、もうお昼時だ。どこかに停めて昼食を摂ろうにも、良さそうな場所が無い。集落内には道の駅があるが、既に観光バスが停車してあり騒がしそうなのでスルーする。
そしていつしか人里から離れ、道は二車線のまま登りが続いていた。ふと辺りを見回せば、道は紀伊山地の山々の尾根を走り、遥か遠くまで見渡すことが出来る。r29は単なる主要地方道こそあれ、敢えて名前をつけるなら、近隣の道路の名を借りて「田辺龍神スカイライン」としておこうか。一つ惜しいのは、このようなパノラマを、車を停めて眺める場所が無いという点だ。道は駐車禁止の標識こそ見当たらないが、見通しの悪いカーブが多いので、路上に迂闊に停めることは迷惑極まりない。もどかしく思いつつ、r29最高峰の虎ヶ峰の峠をトンネルで越えるとポケットパークのような休憩所を発見。とりあえずここに停めてみる。停めてみたのは良いが、この休憩所は中途半端な位置にある。標高の高い所にありながら、展望があまり良くない。あるのは公衆便所と、満開の桜の木が数本あるのみである。
それでも憂ちゃんは喜んでくれた(笑) |
昼食の後、再度出発する。ここも災害とは無縁でなく、数年前の豪雨で派手に崩れたようで、二車線の道が部分的に一車線に規制され、交互通行となっている箇所もあった。連続カーブで峠から下る途中、立派な橋梁が見えたと思ったらこちらに合流する。これはR311の中辺路から分岐するr198であり、一般県道でありながら、紀伊半島のヘタな酷道よりも整備が進んでおり、全線センターラインのある二車線路であるらしい。
下り道を完全に下りきると、国道にぶつかる。右折し、その青色おにぎりを見るや、酷道を少々かじった人なら卒倒しかねない、そのナンバーは昨日もちらっと登場した425である。近畿の酷道四天王の一つである。(他?371と477と…) 尤もこの辺は整備され快走路になっているので心配はいらない。
虎ヶ峰からは旧龍神村だが、案の定大合併で消えており現在は田辺市にある。そう言えば昨日通った旧本宮町も田辺市だったはず…。田辺市龍神村西で右から酷道仲間のR371が合流すると、R425は下位にあたるため一旦表舞台から姿を消す。ちなみにこのR371、合流手前では所謂「分断国道」になっており、しかも造りかけのバイパスが放置されているらしい。昨日辿った五新線と言い、紀伊山地には未成線が少なくとも二つ存在することになる。昨日R168走行中にあんな事を吐いた身であるが、未成線こそ無駄の極み であることは否定はしない。旧龍神村の快走路をハイペースで走り抜ける。蛇足ながら、この先の途中で分岐するR425は地元の方、沿線に所用の方、あるいは私のような酷道を愛する変態以外は絶対に走ってはいけない(忠告) その先は十津川村の平谷に出るが、オススメはしない。龍神から十津川へ抜けるなら、先ほどのR371分岐の先にあるr735を使お…r198経由でR311を使いましょう。
R425と分岐した直後にそれはある。
龍神温泉 元湯 |
入湯年月 | 2013.3 |
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料金 | ¥700 |
営業時間 | 7:00〜21:00 |
備品など | 石鹸・シャンプー等あり |
泉質 | ナトリウム炭酸水素塩泉 |
データ年月 | 2014.3 |
備考 | 源泉掛け流し ツルツル |
後述する高野龍神スカイライン開通前は秘湯中の秘湯だったと思われる龍神温泉だ。日高川の上流に沿うこの温泉地は山深くにある。この外来入浴施設の建物自体は新しく、そのすぐ脇にはこれまで使われていたと思われる風呂場の廃墟が見られる。しかし¥700である。今回の道中最高値だ(笑)。市街地のスーパー銭湯なら普通の値段であるが。尤も値段だけあって、設備の充実具合は比較にならないのだが。日本三大美人の湯の名にし負う、ヌルヌル感の強い湯だった。本日は休日とあってか、多くの観光客でにぎわっていた(※道中の他の温泉比)。
駐車場は温泉街の手前に存在する。車に戻ると目の前を…
龍神バス |
昨日に引き続き、またも遭遇した龍神バス! ただ今回は昨日とは違う車両のようである(日デ富士重ボディ KK-RM252GSN 板バネワンステ)。
バックは元湯の建物… これもうわかんねえなぁ… |
R371をさらに北上する。龍神村龍神の集落を越えた先から高野龍神スカイラインとなるようだが、どこからなのかは不明である。以前は高額な通行料を盗っていたが、現在は全線無料である。
先のr29と同様、山々の尾根に近い部分を通るので標高は高く、また勾配もきつい。燃費計を見るとふざけた値を示している。都心部ではないのでストップ&ゴーこそ少ないが、きつい登りが続いたので、全く燃費は伸びていない。
途中の護摩壇山にサービスエリアのような休憩所があるが、冬季は休業のようで、三月いっぱいは冬季に当たるのか、この日も休業中であった。駐車場には多くのライダーで溢れかえっていた。
いくら眺めが良いと言ってもいい加減飽きてきた。しかしながら、絶景の写真が一枚も無いのはお察しください(笑)。〜スカイラインを抜けきると高野山の町に出る。高野山と言えば間違いなく山上に位置するのだが、〜スカイラインで延々と高地を走っていたので、むしろ「山から下りた場所にある」という印象を強く感じた。
折角なのだが、既に夕刻となり、日没まで時間が無いので高野山訪問はまたの機会に回し、高野山道路ことR480〜R370を駆け降りる。そして今や大阪の植民地と化した橋本市に到着。一泊二日の紀伊半島視察旅行はここで終了とする。家路はまだまだ遠いのではあるが。
●まとめ
昨日今日とで感じた紀伊半島の魅力、そして地理的環境…
五新線は無理ゲーだと思った(小学生並の感想)
●参考