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 #003 R168と五新線

 

●はじめに

2013年3月末、紀伊半島へ一泊二日の視察旅行に出掛けた。本レポートは経由したR168及びそれに並行する五新線を主題とした道中記である。

 



●その1

初日。近畿某所から車を走らせ、奈良県は五条市からR168を南下し紀伊半島入りする。R168が大阪府枚方市から和歌山県新宮市までを結んでいることは多分あまり知られていない…と思う。そういった認識が私にあるのはR168が大和高田から五条まで延々と上位国道に寄生して表に出ないから、あるいは紀伊半島の山深くを南北に縦断するという印象が強いせいだろうか。
(R168のRは国道という意味です。ちなみにrは都道府県道です)

 五条から吉野川を渡り、しばらく走ると国道に沿って怪しげな細道が並行していることに気づく人は多いと思う。それも築堤や高架、トンネルなどを多用した高規格な道が。

 

@西吉野町向加名生(むかいあのう)付近
(西)吉野の桜と菜の花(適当)

これこそが旧国鉄が建設途中でほったらかした、五新線の遺構である。その名が示すように、五条と新宮を結ぶ予定であった、未成線というヤツである。この辺りはバス専用道路に転用されている。転用はつい最近始まった訳ではなく、国鉄再建法のもとで建設がストップする1980年頃よりも以前から続いているらしい。つまり端から列車を走らせるつもりはなかった? 丹生川の対岸にカメラを向けていると、ちょうどバスがこちらに向かって走ってきた。


何の変哲もない(?)一般路線車(92年式日野ブルーリボン トップドア仕様)

大和八木〜新宮を走る、日本一長い一般路線である奈良交通の特急バスであった。一日三往復のこの路線は五新線の路盤を走らず国道経由であるようだ。



ここでバス専用道路は途切れる
この先も路盤は続くが使用されていない

その手前 バスの待合所とタクシーの車庫がある
鉄道路線として開業していたらここに駅が設けられる予定だった

この地・城戸で新線建設は一段落だったようだ。この先は建設時期が新しくトンネルが中心となり、国道からは時折チラリと見える程度である。ただし路盤はグーグルマップにも記載されているのでトレース自体はさほど難しくはない。

 そして五新線の遺構のハイライトがここである。緑一色の山間にあって、この一見場違いな朱色は特に映える。



宗川橋梁
ぐにゃりと曲がるR168を付属のコンクリ橋を用い二度渡っている

1996年に塗り替えたとの表記が
こんな無用の長物に誰が何のために?

よく見ると橋は通行不可であるはずなのに欄干が設置されている。廃線や未成線の橋梁と言えばさっさと撤去される(鉄橋だけに…ボソッ)のが普通であるが、どっこいこの宗川橋梁は撤去されるどころか再塗装までなされている。謎の欄干と言い、その目的は如何に?


それにしても立派だ…(恍惚)
鉄橋の先は国道を跨ぐコンクリ橋1スパンを経てダイレクトにトンネルへ

この先は難所・天辻峠を控え、国道が五新線の路盤から一旦離れる。


―つづく―

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